青い猫の花嫁

目の前に……淡い空色の髪……。
長い睫に、あどけない寝顔。

あたしを抱きしめたまま、スースーと気持ちよさそうに寝息を立てる……トワ。


「!!!!!?」


ギョッとして、そのまま体はガチガチに固まった。


……え?ちょ、なんで?

たしか、昨日……猫トワと……。


ベッドから這い出ようと身じろぐと、その腕はさらにきつくあたしを引き寄せる。


「っ……と、トワ、トワ、あの……」


一気に目が覚めて、遠慮がちに声をかけた。


ポンポンと埋められた胸を叩くと、綺麗なその顔を少し歪ませたトワが薄く目を開けた。

自分の中におさまるあたしに驚くこともなく、さらにグイッと引き寄せると、「んー……」と唸る。


「まだ眠い……」

「ちょ、ちょっと、起きてよ」

「……やだ」


や、やだって……。

胸がキュウってなって、だけどあたしはフルフルと首を振った。


「ねえ、トワ……」


必死になってその腕から逃れようとしていると、何かを思い出したように突然トワが起き上がった。



ムクリと起きて、ボサボサの空色の髪をクシャリと持ち上げる。
ベッドに転がったままその背中を眺めていると、トワは盛大なため息を吐き出した。



「やばい。忘れてた」



……え?

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