WITH
―――コン、コンッ。
不意にドアを叩く音にハッとしていると、
「オーイ、紗和?入るぞー!?」
廉の声が聞こえて、返事もしないうちにドアは開けられた。
「暗闇で何してんの?電気もつけないで……」
壁際のベッドにいる私からは、廊下の光を背中に受けて佇む廉の顔は逆光で見えないけれど、聞こえてくる声音は明るいものだった。
「月がキレイでしょ?だから……もうちょっと、このままにしてて?」
「ん、わかった……」
私の呟くような声に頷くと、廉はドアを閉めて、ベッドの傍のフローリングに座った。