WITH
すぐに廉は私を見上げて、膝の上に置いていた私の両手を遠慮がちに握ると「大丈夫、か……?」と、優しい声音で聞いてきた。
恐らく、今日の駅でのことを心配して言ってるんだろう。
私は、廉を見つめ返し口角を上げて「うん……」と頷くのが精一杯で……ちゃんと笑えていますか???
頼りなげな月明かりが差し込むだけの暗い部屋。
数日振りの廉の姿を捉えた私の瞳が潤んでいることを気付かれない状況で、心底よかったと思った。
「廉は……最近、何をしているの?」
暗闇に慣れてきた頃、静かに尋ねた私に数回目をしばたかせた廉は「あー…、うん……」言葉を濁した。