WITH
それでも……
真っ直ぐ見つめたままの私に観念したのか、廉は握っていた手を離しベッドの端に座ると、静かな部屋に響く声で話し出した。
「犯人捜し始めてもう4ヶ月もたつのに、全然見つけらんなくてさ?紗和を怖い目にばっかり合わせてるし……当たって砕けろじゃないけど、とりあえず行動に移してみようと思って。紗和と別行動することで、紗和の“周り”を観察してた」
「かんさ、つ……???」
「そう……」と頷いて廉は「黙って後つけたりして、ごめんな?」と切なげに顔を歪めた。
私がいくら首を横に振っても笑ってくれない廉に、“もしかしたら、私より廉の方が傷付いてるんじゃない?”という考えが頭を過って……気付いた時には、私は廉を抱き締めていた。