WITH


「紗和っ!?」って慌てる廉の声も無視して、私は廉をきつく抱き締め続けた。



「今日、紗和が突き飛ばされた時も近くにいたんだ……
本っ当、啓祐が傍にいて助けられたからよかったけど……」



私の腕を簡単にほどいて逆に私を抱き締めた廉は、私の肩に顔を埋めて呟くようにそう言って。


ギュウッと更に強まる廉の腕が微かに震えていて……


私も廉にしがみつくようにして抱き締め返した。



「でも……

やっと、犯人がわかった―――」



静かな部屋。


廉が発した言葉は、更なる静けさを産み出して……


時を止めた―――



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