WITH
そんな自分がイヤで、息を吐き出しながらベンチに座ると、バッグの中で震える携帯に気付いた。
「はーい…」
「紗和ちゃん?オレだけどっ♪」
耳から携帯を離したくなるくらい、彼の明るい声には未だに慣れなくて、
「はいはい……、オレって誰?」
ついつい、呆れた口調になってしまうのは否めない。
その上、意地悪まで言えてしまうくらい親しくなってしまったのは……一冬かけた彼の努力の賜物、だろうか。
「うわっ!!相変わらず、冷てーの。“晴哉”ってわかってんでしょー…」
少し拗ねた口調の晴哉に、
「うん、知ってる♪」とクスクスと笑い返した私。
何度も振っている酷い女のはずなのに、飽きることなく私に連絡し続ける晴哉がいてくれて、救われたこともあったなー…なんて。
そんなことを思い返しての笑いも含まれていたりすることに、きっと晴哉は気付いてはいないんだろう。