WITH
牧師さんが誓いの言葉を述べ始めた時、
「なんであの日、俺と別れるなんて言った?」
そんな廉の声が聞こえた。
なんで……なんて、廉が一番わかってるんじゃないの?
何も言葉を返せないままでいると、不意に左手首が掴まれた。
「紗和……、答えろよ?」
「今更、そんなことどうだっていいじゃない……」
掴まれた左手首を離そうと、引いたり捻ったりしてみても、思ったよりも強い力で掴まれていて廉の手は離れない。
「……どうでもよくないから、聞いてるんだよ」
大きく息を吐きながら、吐き捨てるようにそう言う廉に何も言い返すことは出来なくて、私は黙り込むばかりだった。