WITH


私と廉が小声で言い合っている間にも挙式は進行していって、ちょうど誓いのキスが交わされる瞬間、



「俺、離婚したから―――」



私をじっと見据えて、廉はそう言った。


私は目を見開いて、驚きのあまり声さえ出せない。


絡む視線、掴まれた左手首……


沸き起こる祝福の拍手や歓声の中、私達二人の周りだけ異なった空気が流れていた―――






チャペルを出て、屋上庭園でのブーケトス。


手首は離してくれたものの、私の隣には廉が寄り添うように離れてはくれなくて。


遠目に微笑む新郎新婦の二人を見ながら、私は口を開いた。



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