ＷＩＴＨ

「紗和…、入れて？」



優しく諭すように話し掛けてくる廉の声に、泣き出しそうになってしまう。


今、私の目の前に廉がいることを信じられなくて、でも目の前にいる人は間違いなく廉で……


俯くことしか出来ない私は、ドアノブを握る手から体全体へと脱力してしまい、玄関に座り込んでしまっていた。


その直後―――


ドアの閉まる音と鍵の締まる音を頭上に聞いた時には、私の体は廉によって抱き上げられていた。



「おじゃまします♪」


「れ、廉……！？」


「言いたいことはわかるけど…、とりあえずは上がらせて」



久しぶりに会う廉は、最後に会った時やついさっき見た無表情からは考えられないくらいに優しい表情をしていて。


少しだけ……嬉しそう？