WITH


きっとそうだと思ったから、自然と微笑んで思ったままを話しただけなのに。


廉は、一瞬のうちに表情を不機嫌そうなモノに摩り替えて、私を見下ろしていた。



「……紗和は?」


「え?」



突然、疑問系で名前を呼ばれて、私はわけがわからずに首を傾げるばかりなのに。


廉はそれ以上言葉を紡ごうとはせず、痛いくらい真っ直ぐに視線を送ってくるだけ。


……かと思ったら、いきなり左頬を狐られた。



「廉、痛い…よ?」


「……ムカつく。
俺ばっかり、好きみたいだし」



はぁ…、と重苦しく息を吐いたあと、廉は狐っていた頬を離し私から視線を外した。


その表情は、怒っているというより……拗ねてるみたい?



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