WITH


駅のホームはたくさんの人で溢れ返っていて、いろんな制服姿が目につきはするけれど、誰が誰だか見分けがつかないくらいだった。


そんな中で、いつもならはぐれないようにと手を繋いでいてくれた廉の優しさを思い出して……


“今、廉は何をしているのかな……?”


なんて、ぼんやりと考えていたら、不意に横から手首を掴まれると同時に引っ張られて、2・3歩後ずさってしまった。



「紗和、危ないって!!」


「へ……???」


「白線より前に出てるから……ボーッとしすぎ」



掴まれた手首はすぐに離されて、呆れた表情を私に向けている啓祐に「……ありがと」と礼を言うと、視線を前方へ向けた。


すぐに案内放送と共にベルが鳴り、電車が来ることを報せた。


ぼんやりとした思考のまま、白線を見つめるように俯いている間にも、背後にはたくさんの人々が詰め寄ってきていた。


あと10メートル程で電車が構内に入ってくるという頃、私は―――


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