WITH
「啓祐……助けてくれたの?」
「落ちなくて、よかった……」
疲れた顔で微笑む啓祐の背後から、駅員さんが走ってくるのが見えた。
「大丈夫ですかっ!?」
「えぇ……どうにか……」
人ゴミを掻き分けて、私達のもとへ来た駅員さんに答えたのは啓祐だった。
先に立ち上がり、駅員さんと話す啓祐の影に隠れるように座り込んだままの私は、震える手を気付かれないように必死に握り締めていた。
私達にお構い無しに到着した電車に乗り込んでいく人々が、好奇の視線を向けてくる中、駅員さんが私の傍にしゃがんで尋ねてきた。
「お嬢さんも……大丈夫かな?」