先輩と私と。
「ありがと」




その袋を開けてボタンを手に取る。






「うわぁ...」





実感する分からない感情。





漫画の中だけだと思っていた第2ボタンが、




今私の手の中にある。





零の制服姿を思い出して、それについていたと思うと、





嬉しくて恥ずかしくて、むず痒くてしかたない。








「ねぇ、零」




「うん?」





「高校、楽しいかな」




「楽しいだろうなぁ。楽しみだよ」





「........可愛い子もいっぱいいるかも」




「...は?」






「私なんかより可愛い子がいっぱい、いるよ」






1度出てしまえば言い切るしかない。






心の奥に閉じ込めて明るくふるまっていた感情が、





さらけでてしまいそう。





「そりゃ、そうかもしれないけど」





そういった零に、





涙腺が緩む。





「でも」




涙を我慢するのに精一杯。





「俺の中では莉生が1番」









「...え?」








「トップアイドルが隣の席だろうが、絶世の美少女が同じクラスだろうが、俺は莉生が1番だよ」






「......」





「俺は莉生の外見だけじゃなくて中身がすきなの」






「...うん」





「分かった?」






「うん。多分」






「ん。じゃ、涙拭いてもっとジェットコースター行こ」





「うん...」






手の甲でごしごし目を擦って、




「うんっ!!行こ!!」






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