等心大〜tou・sin・dai〜
お風呂に入り、
部屋に戻ると
私は友貴にメールした。


『今日は疲れてたのに
 振り回してごめんね』



たったそれだけの文なのに
何度も何度も読み返した。


きっとこんなメール
私らしくない。

友貴もそう思うだろう。



でも
少し変わりたい。



らしい、とか
らしくない、とか
そんなのどーでもいい。



どんなことがあったって
私は私なのだ。


どんな振る舞いをしていても
“私”であるというだけで
充分、私らしい。





友貴からの返信は
すぐに来た。



ブルルル…ブルルル…



『振り回してなんかいないよ。
 心配させてごめんな』





――なんであやまるのよ。

私が悪いのに
なんであやまるのよ。

なんでそんな優しいのよ。



優しいことは
いいことのはずなのに
私は心の中で悪態をつく。


私がせっかく
素直にあやまったのにさ。
友貴ってばホント、ばか。



正直、
大川さんのことで
うしろめたい気持ちがある。
友貴は何も知らないわけだけど。

だから
たとえ理由は別のことでも
友貴が私を責めてくれた方が
いっそのこと
気が楽なのかもしれない。


なんか私だけが
悪者みたいじゃないさ。

いや、実際そうなんだけども。




女心ってフクザツだ。

なんでもかんでも
人のせいにすることが
なんとなく習慣になっている。





『友貴が謝ることじゃないよ』


そうメールを送って
私はベッドにもぐりこんだ。
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