すっぴん★

俊介は意地悪な検査官気取りで、排水溝の中も点検した。

驚くなかれ、髪の毛や、あそこの毛も、1本も落ちていない。もちろん、
湯垢によるへどろも無し。汚れていても不思議で無い排水溝の中が、ぴ
かぴかの状態。

合格。特上の合格。


俊介はトイレと浴室の中を見て、素を運命の人だと思った。


素の自宅なら、自然に呼吸が出来、心置きなく暮らせる、と思った。


潔癖症の俊介が、一緒に暮らせる人なんか、この世にいない、と俊介は
諦めていた。

それが、それが、そうでは無かった。



いた!



この世に一人だけ存在した。


潔癖症の俊介が一緒に暮らせる人は、世界中でこの人しかいない、と俊
介は確信した。


俊介は熱いシャワーを浴びながら、あふれる感動でぼろぼろと涙を流し
ていた。


(やっと見つけた!)


(運命の人だ)


(ただ一人の人だ)


俊介が無言で呟いた。


俊介は感動の嬉し涙を、シャワーでぽたぽたと流し落とした。


胸がかっか、かっかと熱くなる。


流しても、流しても、俊介の熱い熱い涙は、止まらなかった。





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