すっぴん★

素が靴からスリッパに履き替えて、さっさと部屋の中に入って行った。が、
俊介はリュックを背中から下ろし、リュックの中を覗いて何かを探してい
る。


「どうしたの」


「ちょっと待ってね。あった。あった」


リュックの中から、俊介が携帯用のスリッパを取り出した。



パンパンパン。


俊介がスリッパの底同士を、威勢良く叩き始めた。そして、おもむろにそ
のスリッパを履くと、満足そうな顔をして、やっと部屋の中へ。


素は、その光景を呆れた顔をして見詰めていた。


「ホテルのスリッパは履けないの」


「んんうん。ぶるぶるぶる。とんでもないよ。ここは、ラブホだよ。ああ、
怖ろしい」
「やっかいな性格ね」



「本当は、隅々まで掃除機を掛けて、バス、トイレもぴかぴかに清掃した
い位だよ。でも、そんな事していたら、掃除をしにホテルに来たみたいだ
から、我慢するけど・・・」
「信じられない」


素は、ほとほと呆れ果ててしまった。





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