すっぴん★
「タイム!」
素が俊介に、水の掛け合いの中止を求めた。
ワイキキの海は、どこまでも透明。
海の下の浅瀬を、一匹の可愛い蟹が歩いているのを素が見つけたのだ。
「可愛い蟹がいる」
素が、逃げる蟹を素早く捕まえた。
その蟹を親指と人差し指でしっかりと摑み、素が砂浜まで運んで来た。
「可愛い蟹だね」
俊介が砂浜を横に歩く蟹を見て。
「おい、俊介。君はサーフィンがしたくないのカニ」
蟹に向って、素がふざけて話し掛けた。
「僕、サーフィンがしたいワニ~」
俊介が蟹に成りきって、幼児のような声で答えた。でも、少々ふざけ気味。
「なら、サーフィンをしておいで」
素がママのような声で。
「いや~だ。やだ」
俊介蟹が首を横に振った。
「どうしてカニ」
「僕には、しなければならない事があるだよ。それまでは、出来ないよ~」
蟹は二人の会話に迷惑のご様子。
ちょっとした油断の隙に、別の方向に歩き出した。