すっぴん★
他の三人と言えば、入念、美意識過剰の厚化粧。
(ほら見ろ。壁じゃないか。メイクを落とせば、誰が誰だか分かり
っこないよ。ば~か)
俊介は他の三人を心の中で馬鹿にした。
そして、うっとりと素を見詰めていた。
「んん・・・。私、私は化粧がへたくそなだけ。私が化粧をしたら、
まるでお化けになるの。それで、無駄な抵抗しなくなっただけよ」
素は他の三人の視線を気にして、慌てて嘘を付いた。
(何よ。すっぴんにそんなに自信があるの)
(自分だけいい子になって。つけあがるな)
(たとえ、親友でも許せない。戦場で核爆弾を使うなんて、卑怯者)
三人の目が雄弁に語り、素を攻めまくっている。
白井素は赤百合女子大の三回生。ボランティアクラブの副部長だ。
今日の合コンは、同じクラブの選抜4人で編成。対する男たちは、
武庫川美術大学の学生たちだ。
「そう言えば、先日、だちが言っていたっけ。朝、隣に眠っている
女がいるんだ。誰だ!こんな女知らねぇ。よくよく女の顔を見ると、
素顔の彼女だった。まるで別人。女は化ける達人だってね」
俊介の隣に座る米田渡が、大笑いしながら面白可笑しくすっぴんね
たを話し出した。