すっぴん★
「本当。良かった。実は、もう一つの指輪を買うお金が無かったんだ」
「安物なら二つ買えたのだけど。それではねえ。やはり、気に入ったも
のを上げたかったし。俺のバイトではこれが精一杯。ごめんね」
「バイトを頑張っていたのか。無理しなくて良かったのに」
素は、最近俊介と会えない訳が今分かった。
「就職が内定しそうなんだ。内定したら籍を入れよう」
俊介はとある一流化粧品会社に、ほぼ内定が決まっていた。
「籍を入れるの。結婚式は?」
「結婚式や披露宴は、余裕が出来てから。とりあえずは、籍を入れる。法
律が二人の結婚を認めれば、それで十分。元来、結婚は二人の為のもの。
家族や親類の為にするものじゃないからね」
俊介は、戸籍だけ入れる結婚を想定しているらしい。
(俊介らしいわ。上辺より実質。亀より兎。それも、ありかも)
素は、心の中で小さく呟いた。