すっぴん★

素は思い切り軽蔑した表情で、山賊の顔を穴が開くほど見ていた。
何と、山賊も素の目を複雑な表情で見詰めている。


 「・・・。お宅、白井ね」


驚いた事に、山賊が口を開いた。


「・・・」


素は、呆気に取られて口をぽかーんと開けていた。



「良く見てよ。高校時代同級生だった僕だよ。いやいや、私よ。私」



女装した山賊が、男丸出しのかすれた声でおねえ言葉を話し、にやに
やと笑っている。


(お前は誰だ)


女装に厚化粧では、素にはこのインチキ女が皆目誰か見当が付かない。






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