すっぴん★
「私だよ。高橋だよ。お宅の机の斜め後ろに座っていた高橋だよ。ま
だ、高校卒業してから、2、3年しか経っていないのに覚えていない
の。いやねえ」
山賊がぐいっと顔を素に近づけて。
「高橋?あの高橋」
(思い出した。女装に厚化粧で分からなかったが、あのあほの高橋だ)
素は、やっと女装した山賊を同級生の高橋だと識別した。
「思い出したわ。高橋君。そう、高橋君だわ」
素が、やっと思い出したという表情をした。
「やっと分かったの。失礼しちゃうわね」
女装の高橋は、言葉遣いまでまるで女性の様。
「その格好じゃ。分からないのが当然よ」
「暫く見ないうちに綺麗になったわね。思わず、う~ん、感じてしま
ったわ」
高橋が、女装には似合わないヘンな言葉を口にした。
「そんな格好をしてよく言うわ。高橋君は女に興味が無いんでしょう。
興味があるのは・・・。うふふ。彼氏なんでしょう」
「ブルブルブル。勘違いしないでよ」
高橋が首を大きく左右に振った。