すっぴん★
素は、待ち合わせ場所で俊介を待っていた。
すぐに俊介が現れた。
二人は恋人同士のような雰囲気で、俊介の馴染みのワインバー『ワ
インハート』に入った。
テーブルに付くと、俊介がリュックの中から、布に包んだグラスを
取り出した。
いわゆるマイグラス。
それもぴかぴかに磨いた光り輝くグラス。
素は、そのグラスを見て驚いた。
「それで飲む気」
素が、呆れたような顔をして俊介に問いただした。
「ん。誰が飲んだが分からないだろう。ここには、ほんと、いろんな
奴が来るからね。誰が口を付けたか分からない。考えただけでも、ゾ
ーとするよ。多分、綺麗に洗ってないだろうし」
澄ました顔で俊介が答えた。
「呆れた。いつもそう」
素は大いに呆れた様子。
「んんんん。いつもはもっと。今日は、特別、ハードルを下げている
よ」
「信じられない。じゃ、合コンの席でもそうだったの」
「みんなの手前、我慢、我慢、我慢。だから、殆ど飲み食いしてない
よ」
何と、俊介は潔癖症の為に、飲み食いまで控えていたのだ。
「わお~。お宅、潔癖症!それも、筋金入りの超潔癖症!ヤバ~」
俊介が超潔癖症と知って、素は驚いてしまった。