すっぴん★
「お待たせ」
高橋が澄ました顔で。
高橋の顔を見ると、二人は顔を見合わせて、またまた笑ってしまった。
「何がそんなに可笑しいのよ。失礼しちゃうわね」
高橋が口を尖らせてぼやく。
「どうして女装はしないの」
沙樹が、高橋にストレートに尋ねた。
「これ!これが、普通。普段の姿よ。あれは、コスプレ。ただの遊び
よ」
「変なの」
沙樹は納得が行かない様子。
「女装だと痴漢に襲われるとでも思ったの」
沙樹の言葉は、なぜか棘がある。
「何とでも言いなさいよ。こんな奴の事なんか、放っておいてね。さ
あ、白井、遅くなるから行きましょうよ」
高橋が素の帰宅を急がせた。