表と裏の恋


そして、またうち上がった花火
さっきの雨が嘘かのように舞い上がる


花火に夢中のあたしの手を富樫くんは握った
ゆっくりとあたしも握り返した
あの時のように暖かい手…



「実羽さん、何か買いに行きませんか?」

ケータイで時刻を見ると19時半



「うん!行く!」

屋台のところに行くと大勢の人だかり


たこ焼きを買って、さっきまでいた神社に戻ると…もう誰もいなかった
石段に座って、たこ焼きを食べた


20時半になると花火が終了した
静かになった空を見上げると星空が広がっていた
お互い何も言わず、ただ空を見ていた

ぞろぞろと帰っていく人達

< 44 / 216 >

この作品をシェア

pagetop