満月の人魚
「やっと逢えたんだ。しかも今は隣で肩を並べる事も出来る。遠慮はしねぇよ。」

またあの瞳だ。

自分の全てを見透かしては取り込んでしまうような意思の強い瞳。

「……何言ってるかわからない。」

瑠璃は無理矢理視線を逸らした。

そうしなければ本当に黒沢に全てを見透かされそうで、漠然とした恐怖を感じた。

黒沢はこちらをじっと見た後、軽く肩をすくませてみせた。

それはそうと、と言って話題を変えてくる。

「昨日はあの後大丈夫だったのか?」

「え?ああ、ちょっと頭痛がしたけど、薬で治ったから普通に帰れたわ。……その…昨日はありがとう。」

瑠璃は素直にお礼を言って頭を下げた。
よくわからない発言をしてやたらと構ってくる相手ではあるが、こうゆう事はきちんとしたい性質だ。

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