満月の人魚
瑠璃はうんとも言えず、真っ青な顔で曖昧に笑って見せた。

そのままふらふらと出入り口から出て行こうとする。

すると丈瑠が真っ直ぐ瑠璃を見つめながら、しっかりとした声で告げる。

「瑠璃、覚えておいてくれ。瑠璃を守るのは俺だってこと。……今度こそ。」

それは確固たる決意。

丈瑠が向けてくる意思の強そうな瞳から、視線を逸らす事が出来ない。

二人は再びチャイムが鳴るまで、見つめ合っていた。
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