満月の人魚
あの薬は天野の家に来た時に、父から調子が悪い時に飲むようにと渡された物だ。

無くなれば補充され、今まできらした事がない。

(記憶障害?そんな……。)

何を信じればいいのかわからない。

父が危険だと分かっている薬を自分に与える筈はない。しかし丈瑠が出まかせを言っているようにも感じられず、思考がぐるぐるして気持ちが悪い。

何も言わなくなった瑠璃に、丈瑠は優しい声で続ける。

「悪りぃ、怖がらせたいわけじゃねぇんだ。でも、薬はもう飲まない方がいい。……信じてくれ。」



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