満月の人魚
その晩はよく晴れた雲のない夜空に、黄色い月がひっそりと光り輝く静かな夜だった。

瑠璃は自室で一人、七年間暮らした部屋を軽く片付けながら、密かにこの家を去る準備をしていた。

窓からは満月がのぞいている。

天野の家で瑠璃が唯一心を開放出来る場所だったこの部屋には、それなりに思い入れはある。

今夜0時になれば、丈瑠が迎えに来てくれる。

その後は丈瑠を信じて、繋いだ手を離さぬようこの身一つでついていくだけだ。
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