満月の人魚

対峙

この二週間は平静を装う事が難しいほど、瑠璃は落ち着かない日々を過ごしていた。

しかし時間は刻一刻と過ぎてゆく。

いつも通り天野の家で衣食住を済ませ、学校に通い、昼休みになると丈瑠と昔話や今後の話をする。

瑠璃とは違って丈瑠はいつも通り飄々とした様子だ。

瑠璃も表面上だけはいつも通りを装って過ごすことに忙しかった。

それというのも婚約してからというもの、零士からの接触が明らかに増えたからだ。

毎日瑠璃の教室まで送り迎えをしては、困っていることはないか、体調は悪くないかなど、事細かに聞いてくる。

過保護過ぎる、と零士を窘めながら、苦笑を浮かべる日々が続いていた。

そうしているうちに二週間はあっという間に過ぎていった。
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