満月の人魚
「……瑠璃はやっと自由を手に入れたんだ。今まで囚われていた分、思いっきり笑って自由に生きて欲しい。……愛してる。」

丈瑠が微笑みを浮かべながら手を伸ばし、瑠璃の頬に触れる。

その手は大きく、暖かく、しかし小刻みに震えていた。

瑠璃は丈瑠の手を強く握り締めた。

先程よりも青白くなっている丈瑠の顔を見つめる。

絶対にこの人を死なせやしない。

〝満月の夜だけよ〟

「私があなたを助けるわ。」

〝あなたはーーなんだから〟 

瑠璃は真っ直ぐに丈瑠の瞳を見て告げた。

「あなたに私の〝永遠〟をあげる。」
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