シークレット・ガーデン
家族みたいに


「司、パパなんだね~」


キッチンカウンターの向こう側にいる司に真彩が言うと、司は照れたように笑った。

「真彩だって、ママじゃん。あの真彩がさ」


司のからかうような言い方に、真彩は少し拗ねた様に応える。


「嫌だあ、あの真彩がってどういう意味?私がママになったのって変?」


言いながら、自分が今、司に媚びるような言い方をしていると真彩は感じていた。


「そうじゃないって〜
俺の知ってる真彩は、独身を謳歌している真彩だからさ…
結婚して子供生んだって優美子さんからきいて、ああ、真彩もいい意味で落ち着いたんだなって感慨深かったよ」


キッチンから出てきた司は、白いマグカップを2つ手にしていて
(ーー手の大きな司が持つティーカップは、なんだかおままごとのおもちゃみたいに見えたーー)
真彩の座るソファのそばのローテーブルの上に置いた。


カップの中には、ルビー色に輝く液体がふんわりとした湯気を立てていた。


「ローズヒップティー。
俺、好きなんだ。美容室で出されてから、ハマっちゃって。最近、毎晩これ飲んでる」


司が真彩の方を向き、柔らかい笑顔を見せた。









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