シークレット・ガーデン


真彩は理亜を司に預け、目と鼻を赤くした渚の手を引いて、ピアノのある和室に誘った。


司は、ホッとしたような笑みを浮かべ、「大丈夫だよ。この裏は物置だから」と答えた。



「まさか真彩のピアノが聴けるなんて思わなかったよ……渚、理亜ちゃんのママみたいになりたいから、ピアノ、絶対頑張るって。
すごく喜んでたよ」


リビングと和室を仕切る襖を締め、司が笑顔を見せた。



真彩が渚の目の前で、ピアノを弾いてやると、渚は目を輝かせて喜んだ。


「これは、渚のアデリーヌっていう曲なの」


真彩が教えてやると「アデリーヌって、何?」と渚は首を傾げた。


「アデリーヌは人の名前よ」


真彩が答えると、「そうなんだあ!」と司と渚が感心したように声を揃えて同時に言ったので、3人で大笑いした。



「渚、理亜ちゃんと寝たい。皆でここで寝ようよ!」


渚のリクエストに司は、少し困ったような顔をした。


「私はいいよ。そうしようよ!」


真彩がそう言ったのは、無邪気な渚を喜ばせてあげたかったからだ。






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