シークレット・ガーデン


「……久しぶりだね」


真彩は、花に向かって声を掛けた。


入賞の赤いリボンのついたプレートには、「カトレア 彩ーーサイ」と記されていた。


「これ、したたかな乙女って感じね……」


隣に立つ優美子が言った。


「そお?」


なぜか認めたくなくて、真彩はわざと素っ気なく言う。


「……ね、実はあの時、何かあった?」


優美子が真彩の顔を覗き込み、いたずらっぽい目を訊いた。


ふふっと真彩は笑う。


「いやね。あるわけないでしょ〜」


…….スカートの裾をくるりと翻して答えた時。



< 177 / 216 >

この作品をシェア

pagetop