シークレット・ガーデン


「まあ!」



司がいきなり、右手を口に当て叫んだ。


「今、宮古は八重干瀬(やびじ)さあ!珊瑚、すげえぞ!いつか来いよ!」




ーーーええええっ?



真彩は身体を仰け反らせて、驚いた。



司が『まあ』と呼ぶのは、昔、愛し合う時だけに限られていたのを思い出したから。


なんとなく、確信犯な気がして、真彩は軽く司を睨んだ。


…暗くてわからなかったかもしれないけれど。




「はあい!、分かったあ!
八重干瀬いつか行くね!キリン君、案内してね!
さよなら!元気でね!」



両手を口元に添えて、真彩が叫び返した時。


プオオン…


夜の闇から、ヘッドライトを光らせた電車がプラットホームに滑り込んてきた。





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