シークレット・ガーデン
「美味しい〜…
理亜っちも早く食べれるようになるといいのにね〜」
テレビの前のテーブルにスープとおむすびを置いて、身を捩りながら、真彩はベビーラックの理亜に話し掛ける。
理亜は、この電動のベビーラックが大好きだ。
このベビーラックは、スイッチを入れると赤ちゃんを10分間、揺すってくれる上にオルゴールのようなメロディまで流れる優れものだ。
その間、真彩はゆっくり食事が出来た。
「もう、そろそろかなあ…」
真彩が呟いた時、テーブルに置いた真彩のスマホが鳴り出した。
約束ぴったり時間だった。
[明日、昼休みに電話してもいい?12時半頃。
やっぱ、メールだけじゃつまんないし。たまには真彩の声聴きたい]
昨夜の司からのメールには、それだけ書かれていた。
まるで恋人に送るようなメールだ…
真彩は思う。
司は自分に対して、好意以上の感情を持っていると感じるのは、こんな時だ。
真彩はそれを見て見ぬふりをする。
そして、真彩も司と同じようなメールを送った。
[大丈夫よ。
私も司の声、聴きたい。
話すほうが伝わるもんね(*^^*)]
それは、真彩が32年間生きてきた中で、経験したことのない甘美で危険な遊びのようにも思えた。