シークレット・ガーデン


理亜を抱きながら、空いた左手で司がそっと真彩の肩に触れた。


真彩は、どきりとする。



……あの夜、あの秘密の場所で下着を脱がせた司の手。


貪欲に胸に触れていた手………



真彩の身体の奥が一瞬、火がついたように熱くなった。


司の声を久しぶりに電話で聴いた時のように。


(馬鹿…何考えてんの…
こんな時に)


真彩が俯いた時、膝に置いたママバッグの外ポケットに入れたスマホが震えた。


夫・光俊からのメールだった。







理亜は突発性発疹だった。


3日経てば熱が下がり、発疹が出ると医師に言われた通り、3日後、理亜の全身に赤いブツブツが出来た。


ズリ這いが出来るようになった理亜は、好奇心いっぱいで、家中いろんなところへ匍匐前進のようにして這って行くようになり、ますます目が離せなくなってきた。


離乳食も始まって真彩は夕飯の献立に加わり、離乳食のレパートリーにも頭を悩ませる。


可愛い理亜の成長が一番のはずだった。


それなのに、司に再会したあの夜以来、真彩の心の中の大きな比重を彼が占めるようになってしまっていた。




< 87 / 216 >

この作品をシェア

pagetop