シークレット・ガーデン


優美子から来たメールの文面からは、真彩を本気で心配する気持ちが滲み出ていた。


真彩は、彼女の深い慈愛を感じた。

由美子は、恋愛には弱い面もあるけれど、理性と正義感の強さはそれより勝る。


もし万一、司と不適切な関係になれば、優美子は間違いなく真彩との縁を切るだろう。


真彩の結婚式で、光俊に
『大切な私の親友真彩を幸せにしてあげて下さい』
と涙声で感動的なスピーチをしてくれた優美子。


それは、一生感謝するに値する素晴らしい言葉だ。


友人の中でも優美子は別格の存在だ。

光俊も優美子も失いたくない。


優美子が「逢うな」と言うならば、真彩は司とは絶対にもう逢わないと誓っても良かった。



当たり前だけれど、司とはまたメル友同士に戻った。


1日1回、お互いのなんでもないようなことをメールで報告する。

時々、来ない時もあった。


メールがなかった次の日は、必ず、昨日メール出来なくてゴメンね、と付け加えられていた。



真彩のスマホのメールの送受信の欄には、[砂川司]の文字が並ぶ。


その文字を見ながら、真彩は
「これって友達以上恋人未満というやつだよね…」とやるせなく呟く。





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