イケメンルーキーに恋をした


「……来たのか」


無理に口角を上げる先輩。


あたしはコクンと頷いて、唇を噛んだ。


「ここ」


岩石先輩がベンチに腰掛ける位置を少しずらし、空いたスペースをポンポンと手で叩いた。


先輩を探してここまで来たからって、掛けられる言葉は何もないのに、あたし、何してんだろ……。


おずおずと先輩の隣に行き腰掛けると、先輩はあたしを見て柔らかく微笑んだ。


「神村らしくないじゃん、そんな凹んだ顔して」


あたしはチラッと隣の先輩を見上げて、またすぐに逸らす。


「先輩だって、そんなに無理して優しくしないでください。あたしより先輩の方が辛いのに……」


あたしが口を尖らせながら言うと、先輩は少し後ろにのけ反りコンクリートの天井を見上げ苦しそうに声を出した。


「まぁ、正直、俺もどうしたらいいのかわからないな」



ハハハと笑う先輩の喉仏が上下する。




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