イケメンルーキーに恋をした
全く、この後輩はどこまで先輩に対して嫌味を言ってくるんだろうか。
それで周りから好かれてるんだから、不思議だ。
「ありがとう、田尾くん」
体育館の方へ歩き出した田尾くんにお礼を言った。
一度あたしに背中を向けた田尾くんが、クルリとあたしを振り返る。
「こうやって、きちんと話せる機会を作ってくれて」
「別に?先輩はどーせひとりでは何も解決出来ないんだから、誰かの助けが必要でしょ?」
また嫌味を……。
でも、本当に感謝してる。
今のあたしには、田尾くんの存在がヒーローのようにさえ感じるんだ。
大袈裟かもしれないけれど、田尾くんはきちんとタイミング見てあたしを引っ張ってここまで連れて来てくれた。
だから、さおりとも仲直りが出来たんだ。
「もう、泣かないで下さいよ?」
「……え?」
秋の冷たい風が、涙で濡れた頬の体温を下げていく。
田尾くんの目が、あたしをとらえる。
いつもは一重の鋭い視線だけど、今は、少しだけ優しく見えるんだ。