イケメンルーキーに恋をした


「中学の時一緒にプレーした仲だ。言葉にしなくても、伝わるかなと思ったんだけど……さすがに無理か」


口角を上げた日高先輩は、大きく息を吸って、もう暗くなり始めた空を見上げた。


星が輝き始めても、気温はそんなに下がらない。


あたしは手に握っていた冷却剤をギュッと握った。


あたしの体温で、もう相当ぬるくなっていて、あまり役目を果たしていない。


「それ、直接アイツに言ってくれない?」


岩石先輩が、ジャリッと砂の音を鳴らして一歩前に出た。


「アイツの心、救ってやってくんないかな。頼む」


岩石先輩は深く腰を折って頭を下げた。


あたしも慌てて先輩の真似をして頭を下げる。


「このまま誤解し続けるのは、かわいそうだから。アイツ、柄にもなく怖がりだってことがよくわかったからさ、日高から、アイツに今のこと全て言ってやってくんないかな」


岩石先輩の横顔を見上げると、「な?」と首を傾げ目尻を垂らして微笑んでいた。


「日高には面倒かけるけど、俺ら、アイツにどうしてもバスケやってほしいんだよ」




< 83 / 323 >

この作品をシェア

pagetop