イケメンルーキーに恋をした
「中学の時一緒にプレーした仲だ。言葉にしなくても、伝わるかなと思ったんだけど……さすがに無理か」
口角を上げた日高先輩は、大きく息を吸って、もう暗くなり始めた空を見上げた。
星が輝き始めても、気温はそんなに下がらない。
あたしは手に握っていた冷却剤をギュッと握った。
あたしの体温で、もう相当ぬるくなっていて、あまり役目を果たしていない。
「それ、直接アイツに言ってくれない?」
岩石先輩が、ジャリッと砂の音を鳴らして一歩前に出た。
「アイツの心、救ってやってくんないかな。頼む」
岩石先輩は深く腰を折って頭を下げた。
あたしも慌てて先輩の真似をして頭を下げる。
「このまま誤解し続けるのは、かわいそうだから。アイツ、柄にもなく怖がりだってことがよくわかったからさ、日高から、アイツに今のこと全て言ってやってくんないかな」
岩石先輩の横顔を見上げると、「な?」と首を傾げ目尻を垂らして微笑んでいた。
「日高には面倒かけるけど、俺ら、アイツにどうしてもバスケやってほしいんだよ」