イケメンルーキーに恋をした
「知ってるよ」
「……え?」
あたしは岩石先輩と目を丸め合った。
「知ってる。田尾が週末来てるの」
……知ってたの?
「アイツがコソコソと体育館を覗いてるの、見たことがあって」
「……知ってたんですか」
あたしが言うと、日高先輩はハハっと笑った。
「部活の休憩の時、俺はわざと部員を体育館の外に出して休憩させてたんだ。外の方が空気がいいからよく体を休められるって口実をつけてさ」
「…………」
「それに、色んな雑務も体育館の中で出来るのに、わざわざ外に出てやったり……」
日高先輩が前かがみになって苦笑する。
「それも全部、田尾に見せる為だよ」
……田尾くんに、見せる為?
「俺なりのアイツへのメッセージだったんだ。俺はもう大丈夫だから心配するなって。だから、おまえは俺のことを気にせず自分の好きなことをやれって」
「…………」