beautiful love ★ 俺様boyと天然girl
「早手、違うから……!」
声が震えた。
だけど。
早手は止まらなかった。
息を切らしたまま、真っ直ぐこっちへ向かってくる。
「早手……待って、本当に違――」
私の横を通り過ぎる。
次の瞬間。
「慎……っ!!」
慎の胸ぐらを掴んだ。
「……っ!」
そのまま、慎の身体を強く引き寄せる。
「早手!」
「お前……っ!」
早手の拳が上がった。
「早手、やめて!!」
ドンッ――――。
大きな花火の音と重なる。
振り下ろされそうになった腕を、慎が咄嗟に掴んだ。
「早手!」
「お前……何してんだよ!!」
早手は慎の胸ぐらを離さない。
「……早手」
「お前、知ってんだろ」
「…………」
「こいつが俺と付き合ってんの、知ってんだろ!!」
「……知ってる」
その瞬間。
早手が慎を強く突き飛ばした。
「だったら何でこんなことしたんだよ!!」
「……っ」
慎が一歩よろける。
早手は今にももう一度掴みかかりそうな勢いで、慎を睨みつけていた。
「早手、もうやめて!」
「来んな!」
「でも……!」
「お前は黙ってろ!」
怒鳴られて。
身体がびくっと止まる。
「……悪い」
慎が乱れた服を直しながら、早手を見る。
「俺が勝手にした」
「…………」
「こいつは悪くねぇよ」
「……は?」
「嫌がってた。だから、こいつに当たんな」
早手の顔が歪む。
「お前が言うなよ……」
「…………」
「お前がそれ言うなよ……っ!」
早手がまた慎に掴みかかろうとする。
「早手!」
慌てて腕を掴む。
「もうやめてよ!」
「離せ!」
「嫌!」
「離せって!」
強く振り払われる。
「……っ」
一歩よろける。
慎が咄嗟にこっちへ動いた。
「お前は来んな!」
早手が慎を睨む。
「…………」
慎の足が止まった。
荒い息だけが聞こえる。
早手も。
慎も。
何も言わない。
「……俺だって」
慎が低い声で呟いた。
早手が慎を見る。
「俺だって……ずっと我慢してんだよ」
「…………」
一瞬。
早手の動きが止まった。
「慎っ……お前……」
それ以上は言わなかった。
慎も。
何も答えない。
「…………」
早手がゆっくり慎の胸元から手を離す。
さっきまでより。
少しだけ呼吸が落ち着いていく。
でも。
怒ってないわけじゃない。
「……早手」
恐る恐る名前を呼ぶ。
早手がこっちを見る。
「違うの……」
「…………」
「本当に、違うから」
「何が」
低い声だった。
「慎は……悪くないの」
「…………」
早手の眉が動く。
「私、足痛くなっちゃって……」
「…………」
「早手のこと追いかけてたんだけど、見失っちゃって……それで慎が、これ以上歩くの無理だって……」
焦って。
うまく喋れない。
「ここに来たのだって、慎が私を休ませてくれただけなの」
「…………」
「だから……慎は悪くないよ」
その瞬間。
早手の顔が変わった。
「…………は?」
「え……」
「お前……今、そいつ庇ってんの?」
「違う! そうじゃなくて……!」
「何が違うんだよ」
「だって、慎は本当に私を心配してくれて――」
「もういい」
「……え?」
さっきまでとは違う。
怒鳴ってない。
早手の声が。
急に冷たくなった。
「早手、違うの。私が言いたいのは――」
「もういいって」
「…………」
早手が私を見る。
その目が。
今まで見たことがないくらい冷たい。
「……浮気女」
「…………え?」
頭の中が真っ白になる。
「……何……?」
聞き間違いだと思いたかった。
でも。
早手は目を逸らさなかった。
「浮気女」
「…………」
胸の奥が。
一瞬で冷たくなる。
「……早手……」
早手は何も答えなかった。
そのまま。
私に背を向ける。
「え……待って」
歩き出す。
「早手……!」
追いかけようとして。
ズキッ――。
「……っ」
足に痛みが走る。
それでも。
一歩、踏み出す。
「待って……早手!」
止まらない。
振り返ってもくれない。
「早手……!」
どんどん。
背中が遠くなる。
「…………」
追いかけたい。
ちゃんと違うって。
まだ何も伝えられてない。
なのに。
足が痛くて。
追いかけられない。
「……早手……」
夜空では。
何事もなかったみたいに、また大きな花火が開いた。
ずっと。
一緒に見たかった花火。
その下で。
早手の背中だけが。
どんどん遠くなっていった。
声が震えた。
だけど。
早手は止まらなかった。
息を切らしたまま、真っ直ぐこっちへ向かってくる。
「早手……待って、本当に違――」
私の横を通り過ぎる。
次の瞬間。
「慎……っ!!」
慎の胸ぐらを掴んだ。
「……っ!」
そのまま、慎の身体を強く引き寄せる。
「早手!」
「お前……っ!」
早手の拳が上がった。
「早手、やめて!!」
ドンッ――――。
大きな花火の音と重なる。
振り下ろされそうになった腕を、慎が咄嗟に掴んだ。
「早手!」
「お前……何してんだよ!!」
早手は慎の胸ぐらを離さない。
「……早手」
「お前、知ってんだろ」
「…………」
「こいつが俺と付き合ってんの、知ってんだろ!!」
「……知ってる」
その瞬間。
早手が慎を強く突き飛ばした。
「だったら何でこんなことしたんだよ!!」
「……っ」
慎が一歩よろける。
早手は今にももう一度掴みかかりそうな勢いで、慎を睨みつけていた。
「早手、もうやめて!」
「来んな!」
「でも……!」
「お前は黙ってろ!」
怒鳴られて。
身体がびくっと止まる。
「……悪い」
慎が乱れた服を直しながら、早手を見る。
「俺が勝手にした」
「…………」
「こいつは悪くねぇよ」
「……は?」
「嫌がってた。だから、こいつに当たんな」
早手の顔が歪む。
「お前が言うなよ……」
「…………」
「お前がそれ言うなよ……っ!」
早手がまた慎に掴みかかろうとする。
「早手!」
慌てて腕を掴む。
「もうやめてよ!」
「離せ!」
「嫌!」
「離せって!」
強く振り払われる。
「……っ」
一歩よろける。
慎が咄嗟にこっちへ動いた。
「お前は来んな!」
早手が慎を睨む。
「…………」
慎の足が止まった。
荒い息だけが聞こえる。
早手も。
慎も。
何も言わない。
「……俺だって」
慎が低い声で呟いた。
早手が慎を見る。
「俺だって……ずっと我慢してんだよ」
「…………」
一瞬。
早手の動きが止まった。
「慎っ……お前……」
それ以上は言わなかった。
慎も。
何も答えない。
「…………」
早手がゆっくり慎の胸元から手を離す。
さっきまでより。
少しだけ呼吸が落ち着いていく。
でも。
怒ってないわけじゃない。
「……早手」
恐る恐る名前を呼ぶ。
早手がこっちを見る。
「違うの……」
「…………」
「本当に、違うから」
「何が」
低い声だった。
「慎は……悪くないの」
「…………」
早手の眉が動く。
「私、足痛くなっちゃって……」
「…………」
「早手のこと追いかけてたんだけど、見失っちゃって……それで慎が、これ以上歩くの無理だって……」
焦って。
うまく喋れない。
「ここに来たのだって、慎が私を休ませてくれただけなの」
「…………」
「だから……慎は悪くないよ」
その瞬間。
早手の顔が変わった。
「…………は?」
「え……」
「お前……今、そいつ庇ってんの?」
「違う! そうじゃなくて……!」
「何が違うんだよ」
「だって、慎は本当に私を心配してくれて――」
「もういい」
「……え?」
さっきまでとは違う。
怒鳴ってない。
早手の声が。
急に冷たくなった。
「早手、違うの。私が言いたいのは――」
「もういいって」
「…………」
早手が私を見る。
その目が。
今まで見たことがないくらい冷たい。
「……浮気女」
「…………え?」
頭の中が真っ白になる。
「……何……?」
聞き間違いだと思いたかった。
でも。
早手は目を逸らさなかった。
「浮気女」
「…………」
胸の奥が。
一瞬で冷たくなる。
「……早手……」
早手は何も答えなかった。
そのまま。
私に背を向ける。
「え……待って」
歩き出す。
「早手……!」
追いかけようとして。
ズキッ――。
「……っ」
足に痛みが走る。
それでも。
一歩、踏み出す。
「待って……早手!」
止まらない。
振り返ってもくれない。
「早手……!」
どんどん。
背中が遠くなる。
「…………」
追いかけたい。
ちゃんと違うって。
まだ何も伝えられてない。
なのに。
足が痛くて。
追いかけられない。
「……早手……」
夜空では。
何事もなかったみたいに、また大きな花火が開いた。
ずっと。
一緒に見たかった花火。
その下で。
早手の背中だけが。
どんどん遠くなっていった。