beautiful love ★ 俺様boyと天然girl
「……あと2日」
補習が終わって、思わず呟く。
月曜から始まって今日で3日目。
たった1時間とはいえ、毎日放課後に残らされるのは普通にめんどくさい。
昨日は補習が終わってそのまま体育館に向かったけど、今日は教科書を置いていこうと思って教室へ戻った。
ガラッ――。
「…………」
教室には、木南がいた。
自分の席に座って、本を読んでいる。
「……神崎くん」
俺に気づいた木南が顔を上げる。
「今日も補習?」
「ん」
「毎日大変だね」
「あと2日」
「ふふっ、数えてるんだ」
「そりゃ数えるだろ」
早く終わってほしい。
マジで。
自分の席まで行って、持っていた教科書を机の中に入れる。
ふと木南を見る。
今日は泣いてない。
「…………」
……いや。
別に確認したわけじゃねぇけど。
「……早手くん」
「…………」
一瞬、自分が呼ばれたと思わなくて反応が遅れた。
「……何」
木南を見る。
「つーか、急に名前?」
「うん」
「なんで」
「神崎くんって、なんかちょっと距離ある感じするから」
「…………」
「だめ?」
「別に。好きにしたら」
そう答えると、木南の顔が少し明るくなった。
「じゃあ、早手って呼ぶ!」
「……いきなりそこまでいくのかよ」
「いいって言ったじゃん」
「言ったけど」
「じゃあ決まり」
なんか勝手に決められた。
「……好きにしろよ」
「うん」
木南が嬉しそうに笑う。
名前くらいで何がそんなに嬉しいのか、俺にはよく分からない。
「それで、何」
「あ、そうだった」
木南が俺を見る。
「この前、ありがとう」
「何が」
「無理するなって言ってくれたから」
「…………」
月曜のことか。
「別に」
「私、ちょっと嬉しかった」
「…………」
「それに……2回も泣いてるところ見たのに、何も聞かなかったでしょ?」
「ん」
「……気にならない?」
「別に」
「…………」
「お前が言いたくないこと、無理に聞いてもしょうがねぇだろ」
木南が少し驚いたように俺を見る。
それから、ゆっくり笑った。
「……そっか」
「ん」
何かあるんだろうなとは思う。
でも本人が言わないなら、俺から無理に聞くつもりはない。
「あのさ、早手」
「…………」
今度は完全に呼び捨て。
……慣れねぇ。
「何」
「また、バスケ見に行っていい?」
「…………」
別に俺に許可取ることでもねぇと思うけど。
「……好きにしたら?」
「いいの?」
「俺に聞かれても知らねぇよ。見たいなら見れば」
「ふふっ、そっか」
「何」
「ううん」
木南がまた笑う。
「じゃあ、また見に行くね」
「ん」
時計を見る。
補習が終わってから、思ったより時間が経っていた。
「やべ。もう行くわ」
鞄を持って、教室を出る。
何で木南が泣いてたのか。
何で放課後、遅くまで教室に残ってるのか。
俺はまだ何も知らない。
本人が言いたくないなら、無理に聞くつもりもない。
それより今は、遅れた分だけ早く体育館に行きたかった。
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