【BL】夕立の中、佇む君は



途中、雨が降った。


急に激しく降った雨。


公園につく頃には、髪も、服も、肌もびしょ濡れだった。



それは君も同じで……
夕立の中佇む君は、俺を見て笑った。



「ひどいフられ方しちゃったよ。」



雨のことなのか、彼女のことなのか訊くことはしなかった。




俺は笑っている君が腹立たしかった。



そんな顔して……


泣いてるくせに、



笑うなよ。



君の頬を伝う雨が涙のように見えたのは、きっと俺の目の錯覚なんかじゃない。



気付けば、腕の中に君を抱きしめていた。


「ぇ……」


君は困惑した声音で少し慌てた。



< 5 / 7 >

この作品をシェア

pagetop