【BL】夕立の中、佇む君は




「見てない。」
「ぇ………」
「見てないから無理して笑う必要はない。泣きたいなら泣けよ。」



何だよ、それ。と笑っていた君は、そのうち俺の肩口に顔を埋めた。



「お前、ずるいよ。」
「うん。なぁ……俺じゃだめか?」
「……え?」
「俺じゃ君を笑顔にはさせられないか?」


一旦身体を離して目と目を合わせた。



「――好きなんだ。君のこと」



ぽかんと口を開けて俺を見上げる君。




「絶対泣かせたりしない。俺じゃだめか?」
「な、に言って……」
「俺が大切にする。約束するから。」
「…………でも、俺は男だ。」
「分かってる。分かってて言ってる。」



夕立は容赦なく降り注ぐ。


「それでも好きなんだ。」


雨音に負けることなく君の耳に届くように、告げた。



< 6 / 7 >

この作品をシェア

pagetop