【BL】夕立の中、佇む君は
「見てない。」
「ぇ………」
「見てないから無理して笑う必要はない。泣きたいなら泣けよ。」
何だよ、それ。と笑っていた君は、そのうち俺の肩口に顔を埋めた。
「お前、ずるいよ。」
「うん。なぁ……俺じゃだめか?」
「……え?」
「俺じゃ君を笑顔にはさせられないか?」
一旦身体を離して目と目を合わせた。
「――好きなんだ。君のこと」
ぽかんと口を開けて俺を見上げる君。
「絶対泣かせたりしない。俺じゃだめか?」
「な、に言って……」
「俺が大切にする。約束するから。」
「…………でも、俺は男だ。」
「分かってる。分かってて言ってる。」
夕立は容赦なく降り注ぐ。
「それでも好きなんだ。」
雨音に負けることなく君の耳に届くように、告げた。