愛してるよ、何よりも

意味が分からない…。


分かりたくもない…。


私が、麗斗を振った…?


どうしてそんな嘘言うの…?


「へぇー、美桜ちゃんやるねー。麗斗振るなんて」


「何で?何で振ったの?」


隆也さんと夢子は一斉に私に視線を向けた。


二人の目は好奇に満ちていた。


「色々あって……」


そう言うのが精いっぱいだった。


それ以上何かを言ったら、抑えられない感情が溢れてしまいそうで。


「美桜はモテたから」


吸っていた煙草を灰皿に押し付けながら、麗斗は私の言葉に付け加える。


「えっ?じゃあ、他に好きな人が出来たとか?」


「美桜ちゃん控えめそうなのにねー」


やめて…。それ以上何も言わないで…。


封印したばかりの過去の出来事が蘇ってくる。


あの嘲笑うかのような笑い声が、バカにしたような口調が脳裏を掠める。


みんな何も知らないくせに、勝手なこと言わないでよ……。



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