先天性マイノリティ




「…コウって俺の前で本性見せたことあんのかな」



俺の従兄弟であり、ウエダさんの友達のナツメユウタはよく言っていた。

ユウ兄も昔から充分垢抜けている部類に入るのだけれど、やはり彼は異常だった。



「とんでもなく優しいのかとんでもなく嘘吐きなのか、わかったもんじゃないよな。仙人みたいなときもあるし、園児以下のときもある」


「ユウタは厳しいよな。ね、シュウヤくん」



一度、偶然街中で会ったときに言われたこと。

「メイに会ったらいいのに」。


彼はエスパーかなにかかと思った。




俺がウエダさんと会ったのは確か二年くらい前、それが最後だった。

最近はユウ兄にも会っていない。

社会人になると多忙の壁に阻まれ、過去は思考クローゼットの奥にしまわれてしまう。

ハンガーに掛けられた洋服のように整頓してある場所もあれば、無造作に投げ入れたように乱れている場所もある。


いつ虫に喰われないとも限らない、剰りにも柔らかく儚い記憶。



──二度と戻れないからこそ、想い出は綺麗だ。




ベッドの上で感傷に浸っているうちにうとうとと微睡んで、いつの間にか寝入ってしまう。



──邂逅へと誘われるのは夢か、それとも真実だろうか。






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