先天性マイノリティ
「俺、変だよな。自分でも死ぬだけあると思うよ。でも一番おかしいのはゼロジ。あいつは天才だよ。信頼の天才」
…信頼の天才。
何処かで耳にしたような言葉だと感じたけれど、そのときはわからなかったし、直ぐに忘れてしまった。
それにしてもウエダさんという人はちっとも悪びれない。
自分のことを変だの社会不適合者だのと卑下するけれど、彼ほど他人から好かれた人はいないであろうと思うほどに出来た人格だった。
警戒心の強いユウ兄が信用していたのだから、本当に優しかったのだろう。
この人が二十七という短命で逝ってしまった残酷な事実を思うと、哀しくなる。
人はいつか死ぬ。
でも、どう考えても彼は早過ぎた。
言葉が喉奥に詰まる。
喩え夢であっても、かなしみは誤魔化せないものだ。
「死んだのは、必然だ。二十七年以上の歳月を生きられないんだって、悟っただけのこと。事故死に似た自殺。時間を巻き戻して同じ日に戻れたとしても、俺は間違いなく死ぬ。どうにもならない自分自身に後悔はないよ」
自らに言い訊かせるように、ウエダさんは呟く。
軽快な音楽に合わせて道化師が踊っている。
子供たちの笑い声。
永劫に客の訪れない露店で店番をしている中年の男性。
寂しそうに笑う若い女性に、俺の愛する人の姿が重なる。
…キサラギさんは、今、どうしているだろう?
太陽の無い街を、一筋の光の帯が撫でるように通り過ぎるのを視た。
「…俺は、生きて欲しかったです。キサラギさんのためにも」
敢えてサクラくんの名は出さない。
視線は、思ったよりも真っ直ぐに届いた。
彼は、自嘲するように言う。