先天性マイノリティ
「シュウヤくんには一生わからなくていい。ゼロジにも、メイにも、ユウタにも、誰にも…俺の気持ちはわかったらいけない」
深い哀しみの色が宿る瞳。
その後、卑屈になってごめんな、と一度、謝られる。
漆黒の空に、さっと一筋の光が走った。
風景を捲き込み、人物ごと点滅を続ける世界。
終わりが来る、と悟った。
シュウヤくんの夢はクオリティが高いね、と茶化される。
悪戯が成功したときのように笑われた。
着ているジャケットの腕まくりをしながら肩を竦め、なにか言いたそうに散々勿体ぶった後、眉間一杯に慈愛を込めて、ウエダさんは困ったような、迷子センターで母親を待つ子供のような表情で言い放つ。
「──身勝手だってわかってる。ゼロジを、守ってくれ」
…ああ、それ言っちゃいますか。
言っておいて気づかないなんて、腑抜けたことを。
なんとか笑うのを堪え、軽く左手を挙げて了解の合図を送る。
この人の幼稚さがとても可愛らしく思える。
誰よりもオールマイティに見えたウエダさんという人はこんなにも不器用で、誰よりも人間らしかった。
俺は言った。
どうしても伝えなければいけないと、思ったから。
「ウエダさんが愛しているのは間違いなく、サクラくんですよ」
次の瞬間、世界が真っ白になる。
目の前に現れた境界線が捻れ、渦となって引き込まれる。
最後に見た、呆気に取られたウエダさんの顔が、面白かった。