センチメンタル*宅配便
女の子同士やカップル、1人で文庫を読んでいる女性、お客さんは女性の方が多そうだ。
通りを見下ろすような位置にあるこの場所から、人の流れを覗く。
列のように連なって歩く人たちは窮屈そうだ。
午後の柔らかい日差しを背中に感じながら、自然を感じるカフェでお茶をする。
目の前には好きな人がいるし、今日は何て贅沢な日曜日なんだと嬉しくなる。
ちりんと鈴の音が聞え、目の前の先輩に視線を移す。
先輩は頬杖をついて、私を見ていた。
「で、ちよこはどの辺りから見てたワケ?」
急に現実に引き戻される。
そう、私は先輩のデート現場を目撃した。
不倫じゃないかと噂されている女の人の旦那さんらしき男の人に先輩は殴られていた。
「最初、人込みの中で先輩を見つけたんです。声を掛けようと思って、先輩の後を追ってました。さっきの横断歩道の前で信号待ちをしていたら、女の人が現れて、その後、男の人が・・・」
「何だ、全部見られてるんじゃん」
先輩は諦めたのか両手を挙げて背もたれに仰け反った。
ちりんと鈴の音が鳴る。
ウェイトレスが飲み物を運んできて、それぞれの目の前に置いた。
私ははちみつ入りのピーチティーを先輩はブラックのコーヒーを頼んだ。